第2章 インストールと初期設定
本章では、Claude Code を使い始めるところまでを順に進めます。まず必要なツールをそろえ(2.1)、OS ごとに Claude Code を入れます(2.2)。そのあと、初回の起動と認証を済ませ(2.3)、設定の置き場所とコストの考え方を確認します(2.4、2.5)。
本章の手順とコマンドは、執筆時点の動作に基づきます。インストール方法やコマンドは変わることがあるため、最新の手順は公式のドキュメントで確かめてください。本章の画面は、Linux(Ubuntu)で操作した記録に基づいています。
図2-1 本章の概要
2.1 事前準備
2.1.1 Git のインストールと確認
Claude Code はバージョン管理を前提に使います。変更を安全に進めるため、作業の前に Git が入っているかを確認します。入っていない場合は、お使いの OS のパッケージ管理から導入します。
$ git --version
# 入っていない場合(Ubuntu の例)
$ sudo apt update
$ sudo apt install git
sudo apt update は、手元にあるパッケージ一覧を最新にする操作です。これを省くと、一覧が古いままのときに「そんなパッケージは無い」と言われたり、すでに差し替わった版を取りに行って失敗したりします。入れる前に一度だけ実行しておけば十分です。
注釈
sudo apt upgrade のほうは、本書の手順では必要ありません。これは入っているパッケージ全部を最新版に上げる操作で、時間がかかり、設定ファイルの扱いを聞かれたり、カーネルが入れ替わって再起動が要ったりすることがあります。 Claude Code を動かすのに必要なものではないので、本書では実行しません。普段使っている機械なら、別の機会にまとめてやるほうが安全です。
Git を使う理由は、Claude Code に作業を任せる前後で変更を記録し、いつでも元に戻せるようにするためです。詳しい安全の話は第3章と第19章で扱います。ここでは、Git が使える状態になっていれば十分です。
2.1.2 Node.js の確認
Web アプリの開発や、一部のツールでは Node.js を使います。入っているかどうかは、次のコマンドで確認できます。
$ node -v
入っていない場合や、古い版が入っている場合は、入れ直します。ディストリビューションの標準のパッケージは版が古いことが多く、本書の後半で使うツールが動きません。公式の配布元から、26 系を入れます。
# Ubuntu の例
$ curl -fsSL https://deb.nodesource.com/setup_26.x | sudo -E bash -
$ sudo apt-get install -y nodejs
$ node -v
v26.8.2
Claude Code そのものは、後述のインストーラが必要な実行環境を含めて入れてくれます。そのため、Claude Code を動かすためだけなら Node.js は必須ではありません。ただ、入れておくことを勧めます。理由は 2 つあります。
一つは、Claude Code 自身が、書いたコードを確かめるのに使うからです。第4章 4.2.2 で見るとおり、Node.js があるかどうかで、Claude がどこまで自分で検証するかが変わります。
もう一つは、第4部で使う gstack が、ブラウザを動かす部分で新しい Node.js を必要とするからです。古い版のままだと、画面を確かめる系のスキルがまとめて使えなくなります。詳しくは第11章 11.1.1 で扱います。
2.2 OS 別インストール
Claude Code は、公式のインストーラを使って導入できます。ここでは、本書の記録をとった Linux を中心に、macOS と Windows の入れ方の概略を示します。
2.2.1 macOS
macOS では、ターミナルから次のインストーラを実行します。
$ curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash
導入後、claude というコマンドが使えるようになります。コマンドが見つからない場合は、2.2.3 と同じく PATH の設定を確認してください。
2.2.2 Windows
Windows では、WSL(Windows Subsystem for Linux)の上で Linux と同じ手順を使う方法が手軽です。 WSL を有効にしたうえで、2.2.3 の手順に従ってください。 Windows ネイティブでの導入方法は変わりやすいため、最新の手順は公式のドキュメントで確かめてください。
2.2.3 Linux
Linux では、公式のインストーラを実行します。
$ curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash
2.1.1 でパッケージ一覧を更新していない場合は、先に sudo apt update を実行してください。
インストーラが終わると、導入されたバージョンと実行ファイルの場所が表示されます。今回の記録では、~/.local/bin/claude に入りました。このとき、~/.local/bin が PATH に入っていないと、claude コマンドが見つかりません。表示される案内に従って、PATH に追加します。
$ echo 'export PATH="$HOME/.local/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc && source ~/.bashrc
これで claude コマンドが使えるようになります。
2.3 初回起動と認証
2.3.1 ログインと認証フロー
導入できたら、claude を実行して最初の起動を確認します。
$ claude
最初に、画面の配色を選びます。端末の見た目に合わせて選んでください。あとから /theme で変えられるので、迷ったらそのまま Enter で構いません。
図2-2 claude を実行した直後。まず配色を選ぶ
配色を決めると、ログイン方法を尋ねられます。ここでは 1 を選びます。 1 は、Claude のサブスクリプション(Pro や Max のプラン)でログインする方法です。すでにプランを契約していれば、認証を済ませるだけで Claude Code を使い始められます。 2 は、API の利用枠(従量課金)でログインする方法です。本書はサブスクリプションでの利用を前提にするため、ここでは 1 を選びます。料金の仕組みは、このあとのコラムで簡単に補足します。
図2-3 配色を決めると、ログイン方法を尋ねられる
1 を選ぶと、認証用の URL が表示されます。ブラウザが自動で開くこともありますが、開かないときは c を押して URL をコピーし、自分でブラウザに貼り付けます。
図2-4 1 を選ぶと、認証用の URL が表示される
ブラウザで開くと、Claude Code にアカウントへの接続を許してよいかを尋ねる画面が出ます。何に使われるのかが箇条書きで並ぶので、目を通してから「承認する」を押します。
図2-5 ブラウザで開いた認可の画面
承認すると、認証コードが表示されます。これをコピーして、ターミナルに戻って貼り付け、Enter を押します。
図2-6 承認すると、認証コードが表示される
注釈
ブラウザが自動で開いた場合は、承認したあとに「準備が整いました」とだけ出て、コードの貼り付けは要りません。ターミナル側で認証が終わっているためです。コードが表示されるのは、URL を自分でブラウザに渡したときです。
コードを貼り付けると認証が終わり、注意書きが表示されます。 Claude は間違えることがあること、信頼できるコードにだけ使うこと。この二点は、第19章でもう一度扱います。
図2-7 認証が終わると、注意書きが出る
ターミナルで Enter を押すと、この作業フォルダを信頼してよいかを尋ねられます。
図2-8 Enter のあと、作業フォルダの確認を尋ねられる
ここでは「Yes, I trust this folder」を選びます。初期状態では「No, exit」のほうに印が付いているので、そのまま Enter を押すと Claude Code は終了します。下矢印キーで「Yes, I trust this folder」に移してから Enter を押してください。
この確認は、読み書きと実行の対象になるフォルダを、使う側が明示的に認めるためのものです。自分で作ったフォルダや、素性のわかっているプロジェクトでだけ信頼してください。
注釈
この確認画面は版によって変わります。少し前の版では選択肢に番号が付いていて、「Yes」のほうが上にありました。番号や並び順ではなく、「信頼する」と書かれているほうを選ぶ、と覚えておくのが安全です。
図2-9 信頼を認めると、Claude Code が入力待ちになる
これで認証は完了し、Claude Code を使う準備が整いました。
コラム:Claude Code の料金の仕組み
Claude Code を使うときの料金には、大きく 2 通りの考え方があります。一つは、Claude のサブスクリプション(Pro や Max のプラン)で使う方法です。月ごとの定額で、プランに応じた利用枠の範囲で使えます。もう一つは、API の利用(従量課金)で使う方法です。使った分だけ課金される仕組みで、たくさん使うほど費用が増えます。
本書は、サブスクリプションでの利用を前提に進めます。そのため、認証では 1(サブスクリプションでのログイン)を選びました。定額のプランなら、使うたびの費用を気にせず手を動かせるという利点があります。プランの名称や金額、利用枠は変わることがあります。最新の料金は、公式のページで確かめてください。
2.3.2 最初の対話を試す
準備ができたら、ためしに話しかけてみます。まず、作業用のディレクトリを作ります。
$ mkdir hello && cd hello
中身が空のままでは説明することがないので、ためしに種類の違うファイルをいくつか置いておきます。ここでは、説明用の README.md、小さな Python スクリプト main.py、表データの data.csv の 3 つを作ります。同じ結果を手元でも試せるように、中身もそのまま載せておきます。
README.md は、このフォルダが何なのかを書いた説明書きです。
# hello
Claude Code の動きを確かめるための練習用フォルダです。
種類の違うファイルを3つ置いてあります。
main.py は、あいさつを出力するだけの短いプログラムです。第3章でこのファイルに手を入れるので、あいさつは英語のままにしておきます。
def main():
print("Hello, world!")
if __name__ == "__main__":
main()
data.csv は、名前と役割を並べただけの表データです。
name,role
田中,リーダー
佐藤,開発
鈴木,デザイン
3 つを置いたら、このフォルダで claude を起動します。
$ claude
起動したら、たとえば次のような短い指示を送ってみます。
このフォルダにあるファイルを一覧して、それぞれが何のファイルかを簡単に説明してください。
すると、Claude Code はフォルダの中を自分で読み取り、それぞれが何なのかを説明して返します(図2-10)。
図2-10 最初の対話。フォルダの中を自分で読んで説明が返る
このときの応答は、こういう内容でした。
/home/h3/hello にはファイルが3つあります(Git リポジトリではありません)。
README.md フォルダの説明。「Claude Code の動きを確かめるための練習用
フォルダ」で、種類の違うファイルを3つ置いてある、と書かれています。
data.csv 2列(name,role)のCSV。データ行は3件
(田中=リーダー、佐藤=開発、鈴木=デザイン)。
main.py Python スクリプト。main() が Hello, world! を表示するだけの
内容で、if __name__ == "__main__" から呼ばれます。
要するに、Markdown・CSV・Python の3種類を並べた動作確認用のサンプルフォルダです。
注釈
同じファイルを置いても、返ってくる文面は毎回同じにはなりません。表で返すこともあれば、箇条書きで返すこともあります。頼んでいない「隠しファイルもサブディレクトリもない」という 1 行が付くかどうかも、そのときによります。確かめたいのは文面の一致ではなく、こちらがファイルを見せていないのに中身を読んで答えているという点です。実行のたびに応答がぶれることは、第4章 4.2.2 でもう一度扱います。
返事が返ってくれば、対話はできています。このとき Claude Code は、こちらがファイルを開いて見せなくても、自分でフォルダの中を読みにいきます。これが、第1章で見たコードベースを理解するという動きの、いちばん小さな例です。途中でファイルへのアクセスやコマンドの実行を求められたら、その意味を確かめてから許可します。許可の扱いは第3章で詳しく見ます。
2.3.3 正常に動いているかの確認
正常に動いていれば、話しかけた内容に対して応答が返ります。バージョンを確かめたいときは、次のコマンドでも確認できます。
$ claude --version
2.1.195 (Claude Code)
表示されるバージョンは執筆時点のもので、手元ではもっと新しい番号になっていることがあります。バージョンが表示され、対話で応答が返れば、ここまでの準備は問題ありません。
うまくいかないときに多いのは、コマンドそのものが見つからない場合です。 claude が見つからないと、次のように表示されます。
$ claude --version
claude: command not found
これは、PATH の設定が済んでいないときに起きます。 2.2 のインストール手順で示した PATH の追加を、もう一度確認してください。 PATH を通し直すと、claude コマンドが見つかるようになります。
2.4 設定とディレクトリ構成
Claude Code の設定がどこに置かれるかを、先に押さえておきます。置き場所がわかっていると、あとで CLAUDE.md やスキルを足すとき、どこに何を置けばよいかで迷わずに済みます。
2.4.1 ~/.claude/ の役割
Claude Code は、ユーザー単位の設定を ~/.claude/ に置きます。ここには、全プロジェクトに共通する設定ファイルや、行動規範をまとめた CLAUDE.md、追加したスキルなどが入ります。
たとえば第7章で扱う CLAUDE.md は ~/.claude/CLAUDE.md に、第11章で導入する gstack は ~/.claude/skills/gstack に置かれます。どのプロジェクトで作業していても、ここに置いたものは共通して効きます。このディレクトリを見れば、全体に効く設定がどこにあるかがひと目でわかります。
2.4.2 プロジェクト単位とユーザー単位の設定
設定には、全プロジェクトに効くユーザー単位のものと、特定のプロジェクトだけに効くものがあります。ユーザー単位の設定は ~/.claude/ に、プロジェクト単位の設定はそのプロジェクトの中の .claude/ に置かれます(図2-11)。
たとえば、あるプロジェクトでだけ許可した操作は、そのプロジェクトの .claude/ に記録され、ほかのプロジェクトには影響しません。逆に、どのプロジェクトでも守ってほしい方針は、ユーザー単位の ~/.claude/ に置きます。この 2 つの層を分けて考えると、どの設定がどこまで効くのかを見失わずに済みます。
図2-11 ユーザー単位とプロジェクト単位の設定の 2 層
2.4.3 モデル選択
Claude Code は、用途に応じてモデルを選べます。深い検討が必要な作業では能力の高いモデルを、決まりきった軽い作業では軽量なモデルを、というように使い分けます。
軽いモデルは応答が速く、費用も抑えられます。込み入った設計判断では能力の高いモデルが向くなど、作業の重さに合わせて選ぶのが基本です。モデルの名称は執筆時点のもので、変わることがあります。選べるモデルと切り替え方は、/model コマンドで確かめてください。モデルの選択は、次のコストの話とも関わります。
2.5 コストの考え方
2.5.1 何にコストがかかるか
Claude Code は、やり取りした文章の量に応じてコストがかかります。送ったプロンプトや読み込んだファイル、返ってきた応答の量が多いほど、コストは増えます。使うモデルによっても、かかり方は変わります。
コストは、一回のやり取りだけで決まるわけではありません。 Claude Code は応答するたびに、それまでの会話や読み込んだファイルも含めて、もう一度まとめて読み直します。そのため、長い文脈を抱えたまま作業を続けると、一つ一つのやり取りがだんだん重くなっていきます(図2-12)。
図2-12 文脈が大きいほど、毎回のやり取りのコストが増える
2.5.2 使用量の確認
どれくらい使ったかは、/cost のような確認用のコマンドで見られます。作業の合間に使用量を確認しておくと、想定より増えていないかを、その場で把握できます。特に、長い作業を続けているときや、たくさんのファイルを読み込ませたときは、一度見ておくと安心です。確認用のコマンド名は変わることがあるため、最新のものは公式のドキュメントで確かめてください。
2.5.3 無駄を抑える基本姿勢
コストを抑える基本は、文脈を必要な分だけに保つことです。関係のないファイルを大量に読み込ませない、作業を小さく区切る、話題が変わったら一度区切る、といった姿勢が効いてきます。
文脈を軽く保つと、毎回読み直す量が減るので、コストが下がります。それだけでなく、一度に扱う範囲が狭くなるぶん、出てきた変更も確かめやすくなります。コストと確認のしやすさは、文脈を小さく保つという一つの姿勢でつながっています。作業の進め方そのものは、次章で詳しく見ていきます。