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40年の歩みを振り返る:ドキュメンタリーから読み解くC++の現在地と進化の歴史

ハーブ・サッター氏のブログ記事 C++: The Documentary released today を読み、C++という言語が歩んできた長い道のりと、これからの展望について改めて考えるきっかけをいただいたので、内容を整理してみます。

英語なんで苦手なのですが、ちゃんと見よ。(^^;


本日、YouTubeで『C++: The Documentary』が公開されました。このドキュメンタリーは、C++の生みの親であるビャーネ・ストラウストラップ氏をはじめ、言語の発展に寄与してきた多くの重要人物たちが登場し、40年にわたる成功と苦難の歴史を振り返る内容になっています。

C++の進化と歴史のタイムライン

C++は、ベル研究所での「C with Classes」という控えめな始まりから、現在の世界的な普及に至るまで、いくつかの大きな転換点を経験してきました。その流れを簡単に図解すると、以下のようなイメージになるかと思います。

flowchart TD
    A[1979年: C with Classes] --> B[1983年: C++と命名 / CFront]
    B --> C[1990年代: 標準化への動き / STLの導入]
    C --> D[1998年: 最初の標準規格 C++98]
    D --> E[2000年代初頭: C++の冬 / JavaやC#との競争]
    E --> F[2011年: C++11による再興]
    F --> G[2025年時点: ユーザー数が過去3.5年で90%増加]
    G --> H[現在: 安全性とパフォーマンスの共存へ]

ドキュメンタリーのチャプターを見ると、単なる成功談だけでなく、「バグだらけの製品だった」と評される初期の苦労や、2000年代初頭の「C++の冬」と呼ばれた停滞期、そして近年の劇的なユーザー数増加まで、生々しい記録が収められているようです。

登場人物と背景

このプロジェクトには、C++の歴史を語る上で欠かせない豪華なメンバーが顔を揃えています。

名前 主な役割・背景
ビャーネ・ストラウストラップ C++の設計者であり、最初の実装者
アレクサンダー・ステパノフ 標準テンプレートライブラリ(STL)の設計者
ハーブ・サッター ISO C++委員会 名誉議長、今回の記事の執筆者
ジョン・ロメロ 『Doom』『Quake』開発者(ゲーム業界での普及)
クリス・ラトナー LLVM、Clang、Swift、Mojoの開発者
アンデルス・ヘルスバーグ C#、TypeScriptの開発者(競合言語の視点)

特に興味深いのは、C#の生みの親であるアンデルス・ヘルスバーグ氏や、Swiftのクリス・ラトナー氏など、C++に影響を受けつつも異なる道を切り拓いた開発者たちの視点が含まれている点です。これにより、C++がプログラミング言語の生態系の中でどのような立ち位置にいたのかが、より客観的に描かれているのではないかと思います。

なぜ今、C++なのか

現在、IT業界では「メモリ安全性」への懸念から、Microsoftなどの大企業がRustへの移行を進める動き(後述の参照記事にあるような「Goodbye to C++」の流れ)が一部で見られます。しかし、統計データによれば、2025年第3四半期時点でC++は世界トップ4の言語の中で最も急成長しており、ユーザー数は過去3.5年間で90%以上も増加しているとのことです。

この背景には、以下のような要因があるのかもしれません。

  1. AIとハードウェア最適化: 大規模言語モデルの推論エンジンなど、極限のパフォーマンスが求められる領域での需要。
  2. 既存資産の膨大さ: OS、ブラウザ、ゲームエンジンなど、世界の基盤を支えるコードの多くがC++で書かれていること。
  3. 言語仕様の近代化: C++11以降、3年ごとのアップデートにより、モダンな記述が可能になったこと。

たとえば、ドローンのフライトコントローラーのようなリアルタイム性が求められる組み込みシステムや、低レイテンシが必須の金融トレーディングの分野では、依然としてC++が第一選択肢であり続けている実情があります。

課題と未来への展望

もちろん、C++が課題を抱えていないわけではありません。メモリ安全性に関する議論や、ビルドシステムの複雑さといった「負の遺産」とも向き合い続ける必要があります。最近では、AIエージェント(Claude Codeなど)を活用して、既存のC++コードを最適化したり、安全な言語へ段階的に移行したりする試みも始まっています。

こちらで紹介したドキュメンタリーは、単なる懐古趣味に浸るためのものではなく、「なぜこの言語はこれほど長く、そして今もなお成長し続けているのか」を理解するための、実務家にとっても示唆に富む内容だと言えます。

週末の時間を使って、この40年の物語に触れてみるのはいかがでしょうか。これからのシステム開発において、私たちがどの言語を選択し、どう向き合っていくべきか、そのヒントが見つかるかもしれません。

参照記事